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講演会

佐々木裕之特別主幹教授が基幹教育科目総合科目「アカデミック・フロンティアⅡ」で講演

2024.06.21




 令和6年6月19日(水)、本学伊都キャンパス(センター2号館)にて開講された基幹教育科目総合科目「アカデミック・フロンティアⅡ」において、高等研究院の佐々木裕之特別主幹教授が「三毛猫と多能性幹細胞を生み出す遺伝子スイッチ(エピジェネティクス)」をテーマに講演を行いました。
 「アカデミック・フロンティア(Ⅰ、Ⅱ)」は、本学を代表する研究者の講演を通じて、学生の皆さんの学問への興味を喚起し、多様な分野への視野の広がりを促すことを目的として開講される科目です。本年は高等研究院を代表して、佐々木特別主幹教授が講師として登壇しました。

 講演では、学問分野としてのエピジェネティクスの成り立ちや主なメカニズムについて説明されました。(エピジェネティクスは、DNA配列の変化なく遺伝子のはたらきを変えるスイッチの役割を果たすもので、細胞分裂後も継承される変化を研究する学問領域であり、1990年代から特に盛んになったと言われています。エピジェネティクスの分子的なメカニズムは、DNAやヒストンタンパク質の化学修飾と言えます。)
 また、エピジェネティクスは老化や一卵性双生児の個性の違いを始めとした様々な生命現象に関係しており、既に再生医療・生殖医療の鍵となっていること、がん、生活習慣病、免疫疾患、精神神経疾患の解明に貢献していること、更には診断法開発、創薬、遺伝子組み換えを使用しない有用動植物(non-GM product)の生産まで、大きな可能性を秘めていることが述べられました。加えて、身近な例として、三毛猫の模様、朝顔の絞り模様、女王蜂への運命決定など、ある種の偶然性をはらんでいるエピジェネティクスが、多様性の源となっていることも紹介されました。あわせて、クラウドファンディングにより実施された三毛猫遺伝子探索プロジェクトの裏話や、テレビ出演時の秘話についてもお話しいただきました。
 講演の最後には、米国の生化学者:アーサー・コーンバーグ博士(1918-2007)の随筆が紹介され、「目の前の病気を直接治療する事も重要だが、大元の原因を突き止めることも重要」「将来は推測するものではなく自分達が創るものだ」とのメッセージを引用されるとともに、佐々木特別主幹教授から学生へのメッセージとして、「是非、未来を創る若者になってください」との熱い言葉で講演が締めくくられました。

 講演後には、集まった170名を超える学生の皆さんとの活発な質疑応答が行われ、盛会のうちに終了しました。

 高等研究院では、今後も様々な形で、特別主幹教授をはじめとしたトップ研究者の豊富な研究経験や最先端研究を体感頂ける機会を設けて参ります。